2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

農業型か狩猟型か:企業の成長の統計性と金利の問題

私はこの数年、共同研究者らと膨大なデータを分析しながら企業の統計性を分析してきて、企業は農業よりは狩猟に近いものと考えるようになった。農業は、多少の天候の善し悪しはあっても、おおよそ畑の面積に比例した収穫があり、安定した収入が見込める。そ…

エアロゾルのベキ分布も要注意

原発から大気中に拡散された放射能物質の問題は、当面、新たな放出が抑えられているようで少し落ち着きを取り戻しつつある。そのような状況ではあるが、新たな不安を引き起こすかもしれないことになるような知見を紹介する。それは、エアロゾルのベキ分布に…

リアルシムシティとしての震災復興

多くの人が今なお大変困難な避難生活をされている中で、不謹慎と気を悪くされる方もいらっしゃるのを承知で、今日の記事を書く。それは、今後の被災地の復興を、”シムシティ”の現実版として多くの人に楽しく参加してもらえるようにしよう、という提案である…

”想定外”やベキ分布を制御するにはどうすればよいのか?

ベキ分布に対しては平均や標準偏差という通常の統計学における最も基本的な統計量が意味を持たない。4月13日の記事の中で述べたように(右のカレンダーの4月15日をクリックして、そのなかの4月13日分”なぜ保険・備蓄ではだめなのか”をご覧ください)、これら…

豊田利幸先生の思い出と科学者の社会的責任

名古屋大学に入学した最初の2年間、私の指導教官は、2009年5月に89歳で亡くなられた素粒子や原子核の研究をしていた物理学者の豊田利幸先生だった。科学者としてのモラルを先生の生き方から学び、自分の研究の方向性も先生の言葉で決まったとも言える。 先…

科学者・技術者の良心と経済

今日の朝日新聞のザ・コラムは秀逸だ。事故を起こした福島原発の製造元GEの原発技師だったブラインデンボー氏を取材した内容がまず紹介されている。1975年に、マークIIIとよばれる当時最新式の原発を開発している中で、福島原発と同じ型のマークI型原子炉の…

全く残念、岩手県知事、今、リニアコライダーとはなんという見識の低さ

4月23日土曜に開催された第2回目の復興構想会議で、岩手県知事が復興プランのひとつとして、リニアコライダーを北上山地の地下に作る計画を推進するという提案をしたという。これは、絶句するほどひどい。 リニアコライダーとは、次世代の素粒子の実験の装置…

金融バブルと研究バブル

大学に入ったときからずっと物理学や科学の好きな人間に囲まれた環境にいた私にとって、正直のところ、経済や金融は最も遠い世界だった。しかし、市場価格の変動がフラクタル的な特性を持つという経験的な事実を理解するために金融の世界に足を踏み入れ、次…

なぜ行方不明者の上限を押さえないのだろうか?

今回の大震災での死亡者数はまだ増え続けている。津波の発生の直後からずっと疑問に思っているのだが、なぜ、行方不明者数の上限を押さえるような数字を調査しないのだろう?現在、新聞やテレビなどで発表されている行方不明者は、警察庁がまとめた数字であ…

金融市場のコンピュータシステムはブラックボックス

昨日の記事に、予期せぬことが必ず起こるこの社会の中にある複雑な人工物は、できるだけ多くの人の知恵を集める仕組みがないと機能停止する危険性があると述べた。今、私が社会を見渡す中で、最もシステムの中身が閉ざされているのが金融市場のディーリング…

マニュアルを越える人を育てることを忘れるな

朝日新聞、4月19日の夕刊に、原発などの事故解析と安全性研究を専門とする社会技術システム安全研究所所長の田辺文也さんの炉心溶融に関する次のようなコメントが載っていた。今回の原発事故の引き金になった大津波は設計上の想定外ではあったが、その後…

シンガポールの自動車購入権と市場メカニズム

4月18日の朝のテレビ番組「モーニングサテライト」で、シンガポールでの自動車の購入に非常にお金がかかるという話が紹介されていた。自動車を購入するには、まず、自動車の購入権という権利証を入手しなければならない。これは、購入権市場が形成されて…

義援金の上乗せでパニック制御−2

昨日紹介したようにパニック的に需要が増加した商品に関しては、義援金を上乗せすることによって、パニックを抑制し、供給に見合う程度の需要に押さえられる可能性がある。お金で問題を解決することに抵抗を感じるかもしれないが、すぐには必要でない人の需…

義援金を上乗せした価格設定でパニック買いを抑制するのはどうか?

最近ようやく落ち着きを取り戻してきたが、震災直後のパニック的な購買行動は極めて以上だった。 朝日新聞2011年4月17日の記事の中に震災直後のコンビニやスーパーマーケットでの需要の増加に関する数字が載っている。各店舗から本部の仕入れ部門への注文は…

企業が特定の被災地の支援を名乗り出るのが望ましい

復興をどう進めるか、という視点の議論が次第に増えてきている。人のうわさも75日と言われているように、ほっておけば人々の関心は3カ月程度で薄れてしまう。できる限り沢山の人の関心を持続させるには、それなりの仕組みづくりが必要である。 今回の災害は…

地域通貨、企業通貨、複合通貨を導入すべき時

ようやくブログの引っ越しが終わったので、中身のある記事を書きます。 被災地で避難生活をしている人は、物資は平等に配給されている状況だと思います。しかし、次第に生活が落ち着いてきて、援助の物資なども豊富になってきたら、配給ではなく、自分たちの…

メールでいただいたコメントです

東北福祉大学の山本光璋教授より下記のコメントを4月14日にいただいております。旧ブログのコメントに載せられなかったということですので、こちらに改めて載せさせていただきます。 山本先生は、私が東北大学にいたとき同じ研究科で生命系の1/fゆらぎ関係の…

旧ブログ4月13日分:なぜ保険・備蓄ではだめなのか

なぜ保険や備蓄では大災害を担保できないのか?−ベキ分布の基本特性から 4月7日の日経新聞経済教室の記事に、ベキ分布に従う大災害は保険では担保できないということを述べましたが、その背景の数理を少し補足します。 災害の大きさを表す量をxとして、その…

旧ブログ4月12日分:電気料金に課税をすべき

原発の賠償金と国の財源:電気料金に注目 被災復興プランから少し視点を変えて、原発の問題を考えます。 震災や津波の復興にかかる費用以上に大きな国のお金が必要になることが明らかになってきているのが、放射能の被害に対する賠償です。福島県では当分の…

旧ブログ4月11日:ローンを0にすること関して

いくつかご質問、コメントをいただきましたので、お答えします。>ローンをちゃらにするのはよいのですが、銀行の不良債権が増えるので、その手当が必要になります。それを先延ばしすると、関東大震災の震災手形の二の舞です。⇒おっしゃるとおり自己破産と同…

旧ブログ4月10日その2:復興リートのイメージ

復興リートのもう少し具体的なイメージ 復興プランを実行するリートに関する、質問を幾つかいただいたので、もう一歩踏み込んだイメージに関する質問にお答えします。 >復興計画を実行するリートというのは、その土地や建物を病院や役所その他の公共的な目…

旧ブログ4月10日の記事とコメントです

復興ファンドと業績連動型金利 野村証券が被災自治体発行の復興債や被災した企業の社債を中心に運用する震災の復興を直接支援するお金を集める復興ファンドを始めるようです。最大で500億円程度を想定しており、国内ではこの規模の投資信託としては初めて…

旧ブログの4月9日の記事とコメントです

質問ありがとうございます。 まず、昨日の記事に書いたプランの作成において、メールベースでいろいろとアドバイスをしていただいた下記のお二人に感謝の言葉を述べさせていただきます。前向きなコメントをいろいろといただき、勇気づけられました。 倉都康…

旧ブログの4月8日の記事とコメントです

2011年4月7日の日経新聞・経済教室に東日本大震災に関する記事を掲載してもらいました。(3度目の経済教室になります。最初は「バスケット型の企業通貨構想」、次は、「金融危機発生の原因と対策」でした。) その記事で一番書きたかったのは、最後の一段落…

ブログ引っ越しました。

GoogleのBloggerで、4月8日よりブログを始めましたが、コメントが入力できない、読者が見えない、などのエラーが発生し、修復のリクエストをしても対応される様子がないので、こちらのブログに引っ越ししました。 今後は、ここから情報発信します。 まず、こ…